雲南コーヒーの主要品種は、ほとんどがアラビカ種(小粒種)。歴史的な経緯と生産事情から、現在もカティモール(Catimor)が圧倒的な主力を占めていますが、品質向上を目指して伝統的な優良品種や雲南独自の品種への転換が進んでいます。
カティモール(Catimor / 卡蒂姆)
現在、雲南で最も広く栽培されている主力品種です(かつては全体の95%前後を占めていた時期もあり、今も大半を占めます)。
特徴
カトゥーラ(ブルボン系の変異種)とティモール・ハイブリッド(ロブスタの遺伝子を持つ)を交配させたハイブリッド品種です。約25%のロブスタ遺伝子を持つため、病害(特にさび病)に強く、収量が高く、成長が早いのが最大の利点です。
風味
ナッツ、チョコレート、キャラメルのような甘みとボディがあり、酸味は穏やかです。一方で、純粋なアラビカ種に比べると香りの複雑さや繊細さはやや控えめで、管理が不十分だと土っぽさや渋みが出やすいとされます。
位置づけ
大規模商業生産に適しており、ネスレやスターバックスなどの大手が調達する豆の多くがこれです。近年は処理方法の工夫でスペシャルティ水準のロットも増えています。
ティピカ(Typica / 鉄皮卡)
アラビカ種の最も古い原種に近いクラシックな優良品種です。
特徴
風味の評価が非常に高く、繊細でクリーンな味わいが特徴です。ただし収量が低く、病害に弱いため管理に手間がかかります。雲南では保山など一部地域に「老品種」として残っています。
風味
花のような香り、柑橘系の明るい酸味、ナッツや甘い後味がバランスよく現れます。クリアで上品な印象です。
位置づけ
スペシャルティコーヒー向けに再評価され、高品質ロットとして注目されています。
3. ブルボン(Bourbon / 波旁)
ティピカの変異種で、クラシックな優良品種の一つです。
特徴
ティピカと形態が似ており、かつては混合栽培されることが多かった品種です。標高1200〜2000メートル程度でよく育ちます。収量はティピカよりやや多いものの、病害抵抗性は高くありません。
風味
甘い香り、まろやかな酸味、豊かなボディが特徴で、蜂蜜やベリー、ヘーゼルナッツのようなニュアンスが出やすいです。
位置づけ
ティピカと同様に「老品種」として一部で栽培が続き、品質重視の農園で見直されています。
その他の注目品種
云咖(Yunka / 雲咖)シリーズ
雲南省農業科学院などが独自に選育した品種(云咖1号・2号など)。病害抵抗性と収量を保ちつつ、風味を向上させたものが特徴です。柑橘・キャラメル・ナッツのバランスが良く、カップスコアで86点前後を記録する例もあり、精品化の切り札として拡大中です。
ゲイシャ(Geisha / 瑰夏)、カトゥアイ(Catuai)、カトゥーラ(Caturra)など
近年、精品コーヒー向けに導入が進む国際的な優良品種です。特にゲイシャは華やかな花香と繊細な酸味で高評価を得やすく、推奨品種として拡大が図られています。
現状の傾向
過去は病害抵抗性と収量を優先してカティモール一辺倒でしたが、2020年代以降は「精品化」政策のもと、ティピカ・ブルボン・ゲイシャ・云咖シリーズなどの優良品種への更新が加速しています。2024年末時点で優良品種の栽培面積は全体の約12.8%(15万ムー超)に達し、2021年の5%から倍増しました。カティモールが主力である状況は当面続きますが、高品質志向の流れの中で品種の多様化が進んでいます。
同じ産地でも品種によって味わいが大きく変わるため、購入時に品種名が記載されている場合は参考にすると、より好みの一杯を見つけやすくなります。


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